教養・歴史アートな時間

舞台 劇団青年座「からゆきさん」 明治期の「棄てられた民の怒り」 現代にもリアルに響く普遍性=濱田元子

撮影/坂本正郁
撮影/坂本正郁

 日本が長い鎖国の夢から覚めた明治時代、外国との戦争で国力を増していくなか、言葉たくみに連れ出された若い女性たちが東南アジアなどで娼婦として働き、外貨を稼いだ。いわゆる「からゆきさん」である。

 1905年のシンガポールにおける日本人の娼館は100以上、娼婦の数は数百人にのぼる。長崎や熊本の出身者が多かったという。

 そんな時代を背景に、シンガポールの娼館「二十六番館」の主人で熊本・天草出身の巻多賀次郎と、そこで働く女性たちが、国家に翻弄(ほんろう)されていくさまを描くのが劇作家・宮本研(1926〜88年)の「からゆきさん」だ。

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