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教養・歴史 アートな時間

美術 大浮世絵展 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演=石川健次

東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」 江戸時代/寛政6年(1794年)5月、大判錦絵 ボストン美術館蔵  (c)2019 Museum of Fine Arts, Boston
東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」 江戸時代/寛政6年(1794年)5月、大判錦絵 ボストン美術館蔵  (c)2019 Museum of Fine Arts, Boston

世界中から集まった浮世絵の粋 娘を思う父、道ならぬ恋

 歌舞伎の一場面に取材した東洲斎写楽の役者絵である。図版に挙げた作品だ。どのような場面だと思われるだろうか。落ち着いた身なりでカッと目を見開き、歯をギリリと食いしばる様子に、初めて見たときはどこかの偉い人が激怒しているのかと思った。でも怒っているときに両の手をこんなふうに組むだろうか、と思い直した記憶がある。

 江戸時代に世を席巻し、明治に入って海外に広まるとモネら印象派をはじめ多くの芸術家に影響を与え、ジャポニスムと呼ばれる一大ブームを巻き起こした浮世絵は、今も国内外で高い人気を誇る。あえて“大浮世絵展”と大見得を切る本展が取り上げる浮世絵師は5人、すなわち喜多川歌麿、写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳である。

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