映画 フォードvsフェラーリ 車の轟音と男たちの咆哮が響く 息つぐ暇もない傑作娯楽映画=芝山幹郎
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レースの描写が迫力満点で、人と人のぶつかり合いも素晴らしくダイナミックだ。これぞ古典的なアクション映画の王道だが、その充実ぶりは近年では珍しい。手に汗握るとか、血湧き肉躍るとかいった常套句が、すんなりと口をつく。もちろん、これは褒め言葉だ。
「フォードvsフェラーリ」の時代背景は、1963年から66年にかけてだ。当時、イタリアのフェラーリ社はル・マン24時間レースの絶対王者だった。60年から4連覇を継続中で、レーシングチーム〈スクーデリア・フェラーリ〉は、無敵の称号をほしいままにしていた。
だが、社の内紛もあって、経営は楽ではない。そこに眼をつけたのが大衆車の王様フォード社だ。買収工作が進められ、話はまとまる寸前まで行った。ところが、相手方の社主エンツォ・フェラーリが翻意した。金銭の問題もあったが、彼はスクーデリアを守りたかったのだ。
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週刊エコノミスト
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