国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

金融機関の1割「高リスク」 破綻処理の制度化機運高まる=神宮健

公的管理下に置かれた包商銀行(Bloomberg)
公的管理下に置かれた包商銀行(Bloomberg)

 中国では、地方銀行の取り付け騒ぎが2019年10月末に河南省、11月上旬に遼寧省で起きた。ともにデマ情報を基に倒産のうわさが広まったのが原因だったが、市民の金融機関に対する不安がうかがえる。

 実際、金融機関の1割は高いリスクを抱えているとの報告もある。人民銀行が19年11月25日に発表した『中国金融安定報告書』では、銀行や信用組合、金融リースなどのノンバンクも含めた金融機関を数理モデルや定性評価に基づいて11段階に分類。18年第4四半期時点で、4379の金融機関のうち約13%の587機関が、高リスクとされる8~11番目の分類だった。主に農村の中小金融機関とみられるが、中国の金融システムに一定のリスクが累積していることが示されている。

 振り返ると19年は、中小銀行の信用リスクや流動性リスクが顕在化し、問題銀行の処理が注目された年だった。5月には内モンゴル自治区の包商銀行が、「深刻な信用リスク」を理由に中国銀行保険監督管理委員会などにより1年間、接収管理(公的管理)されることになった。これを受け、以前から問題を抱えていた銀行でも流動性リスクが上昇。7月には、遼寧省の錦州銀行が戦略投資家を引き入れる形で、8月には株式制商業銀行(6…

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