教養・歴史書評

『評伝 西山弥太郎 天皇とよばれた男』 評者・黒木亮

     日本がまだ敗戦の影を引きずっていた1953(昭和28)年、一介の平炉メーカーだった川崎製鉄(現JFEスチール)は約273億円を投じて千葉市に戦後初の臨海製鉄所を建設した。資本金の実に14倍近い巨額投資で、これにより日本の高度経済成長時代が幕を開けたと言われる。

     本書は川崎製鉄の初代社長として、同社を日本屈指の鉄鋼メーカーに育て上げた西山弥太郎の生涯を詳細に追った学術書だ。

     同時代の松下幸之助、本田宗一郎、井深大、盛田昭夫、土光敏夫らに比して、優るとも劣らぬ実績があるにもかかわらず、西山はあまり知られていない。評者も常々残念に思っているが、鉄鋼業が一般消費者から遠い地味な基礎産業であることと、西山自身が自らを誇示することなく、対外的な活動も控えぎみだったことが原因であると著者は指摘する。

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