インド 将来不安ぬぐえぬ農民債務免除=中島敬二
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国内随一の農業生産州であるマハラシュトラ州政府は2019年12月、農家1軒当たり最大20万ルピー(約30万円)の債務を免除する方針を明らかにした。同州は、豆類や砂糖などの生産が盛んだが、18年の干ばつと19年の洪水により、多くの農民が過重債務に追い込まれていた。同州は17年にも公費を投入し890万人の農民を救済している。
農民の借金苦は全国的な社会課題だ。インドの労働者の40%以上が農業に携わるが、16年には1万1379人の農民が自殺した。農業債務免除制度は、04年に国民会議派政権が開始した。当時野党だったインド人民党(BJP)は反対していたが、14年に政権を奪還すると、18年までに総額1兆ルピー(約1・5兆円)超の救済を、州政府とともに11州で実施した。ポピュリズム政策そのものであり、選挙に勝利するための道具と…
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週刊エコノミスト
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