教養・歴史書評

『大学論を組み替える 新たな議論のために』 評者・服部茂幸

著者 広田照幸(日本大学教授) 名古屋大学出版会 2700円

トップと教員で認識に乖離(かいり) 真の大学改革に向け課題提示

 大学は多くの問題を抱えている。しかし、現在進められているネオリベラル(新自由主義)的な大学改革が正しいわけではない。本書は改革か、現状の肯定かという二者択一を超えて、あるべき大学の姿を模索するものである。

 大学改革の結果、教授会は弱められ、理事長や学長の権限が強化された。しかも、大学人以外の人間がトップについている。外部評価のシステムも導入された。こうした改革の手法は、外部取締役の導入や成果主義など、ネオリベラル的な理念に基づく企業のガバナンス(管理)改革と共通する部分が多い。しかし、ネオリベラル的な改革は企業に対してすら成功したとは言い難い。

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