教養・歴史書評

『大学論を組み替える 新たな議論のために』 評者・服部茂幸

     大学は多くの問題を抱えている。しかし、現在進められているネオリベラル(新自由主義)的な大学改革が正しいわけではない。本書は改革か、現状の肯定かという二者択一を超えて、あるべき大学の姿を模索するものである。

     大学改革の結果、教授会は弱められ、理事長や学長の権限が強化された。しかも、大学人以外の人間がトップについている。外部評価のシステムも導入された。こうした改革の手法は、外部取締役の導入や成果主義など、ネオリベラル的な理念に基づく企業のガバナンス(管理)改革と共通する部分が多い。しかし、ネオリベラル的な改革は企業に対してすら成功したとは言い難い。

     まして大学は会社とは違う。本書が指摘するように、大学では専門科目の担当教員が1人、多くても数人である。逆に大学教員は同じ専門家として外部とつながりがある。個々の大学教員や研究室には明確な目標があるが、大学の目標は曖昧である。それにともなって、大学教員には高度な自立性が認められている。こうした大学組織を企業のように管理しようと思っても機能しない。

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