経済・企業独眼経眼

金融緩和で表れたバブルの予兆=渡辺浩志

 いま、世界経済は好転しつつあり、金融市場では「グレート・ローテーション」が起こると期待されている。すなわち、投資マネーが安全資産である債券からリスク資産である株式へとシフトし、長期金利と株価が同時に上昇することが見込まれている。

 とはいえ、いまのところ米国のインフレ率が大きく高まる気配はないし、11月には大統領選挙も控えていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は少なくとも年内は据え置かれそうだ。そのため、米国の長期金利(10年国債利回り)は、上昇するとしても、当面は3%を上回ることはないだろう。米国の名目潜在成長率は4%台にあり、景気に見合わぬ低金利がしばらく続きそうだ。

 この名目潜在成長率とは、平時の経済成長率のことであり、米国での実物資産投資で得られる平均的なリターンと考えることができる。一方、長期金利は投資資金の調達コストだ。米中摩擦の再燃や中東における戦争勃発など、強烈な外的ショックでもなければ、米国内で投資のリターンがコストを上回っている限り、米国景気が腰折れしたり、株価が本格調整に入ったりする可能性は低い。

残り605文字(全文1080文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事