教養・歴史書評

戦後を通じて類書なし 80年ぶりに名著復活=今谷明

 刀剣は、神話時代までさかのぼって、作刀および残された刀について記録されている。奈良石上(いそのかみ)神宮蔵の七支刀(しちしとう)や埼玉稲荷山古墳出土の鉄剣等がそれで、特に後者は刀身に金の銘文が彫り込まれ、ワカタケル大王(雄略天皇)治世の471年に作られた貴重な文化財である。

 刀剣は所持に免許が必要で、美術品として買い取り・販売等の取引も盛んであり、一方鑑賞の対象として若い女性にも人気があって、一部のマニアを「刀剣女子」とも呼んでいる。熱狂的なファンもいるらしい。

 本間順治著『日本刀』(岩波新書限定復刊、920円)は、1939年という戦前の著作で、戦後も類書がなく、新書としては珍しく古典として復刊されたものだ。その背景を私考するに、戦後は武器兵器の研究など歴史家から忌避され、美術としての刀剣でさえ研究が少なかったものと思われる。

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