教養・歴史書評

「本+人」で大盛況の二子玉川本屋博=永江朗

    予想以上に大盛況の「二子玉川本屋博」(筆者撮影)
    予想以上に大盛況の「二子玉川本屋博」(筆者撮影)

     全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、2019年の紙の書籍・雑誌の推定販売額は前年比4・3%減の1兆2360億円。15年連続のマイナスである。新刊市場の縮小は書店を直撃し、小さな「町の本屋」だけでなく、大手チェーンや地方チェーンの書店でも閉店が相次いでいる。

     しかし、その一方で、若い店主による小さくて個性的な書店が全国で次々と登場するという逆説的な現象も起きている。彼らに共通しているのは、従来の書店像にとらわれず、大手取次業者に依存しないこと。店は多様で、新刊書と古書や洋書を混在させたり、カフェやギャラリーを併設したり。店舗を持たない書店や、週末だけ営業する書店もある。

     こうした現象を象徴するイベントが、1月31日と2月1日の2日間、東京都世田谷区で初開催された。題して「二子玉川本屋博」。東急二子玉川駅直結のガレリアに並んだのは40書店。参加した書店はさまざまで、猫の本の専門店もあれば、青山ブックセンターや蔦屋家電など大型店もある。特設ステージではトークイベントや音楽演奏が行われ、キッチンカーではカレーなどを提供。ブックカバー作りのワークショップもあり、会場は大盛況となった。

     開催に先立って行われたPRイベントで、実行委員長の北田博充氏(蔦屋家電・ブックコンシェルジュ)は次の四つの目的を語った。(1)ふだん書店に足を運ばない人に書店の魅力を知ってもらう、(2)書店と書店ファンの絆を強める、(3)本屋博を継続して、二子玉川を本の街にしたい、(4)全国の書店の応援をしたい──。

     どの店舗でも、訪れた客が書店主たちと積極的に会話する場面が多く見られた。従来の書店ではあまり見られない光景である。読者が書店に求めているのは「本」ではなく「人」なのかもしれない。


     この欄は「海外出版事情」と隔週で掲載します。

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