週刊エコノミスト Online 深層真相
三菱商事と伊藤忠商事 減損判断で変わる序列
大手商社の連結純利益で首位争いをしている三菱商事と伊藤忠商事それぞれが、過去に巨額投資した会社の株価急落に見舞われている。三菱商事が2020年1~3月期に減損処理に踏み切ると、同社の首位陥落は確定的となる。
三菱商事は18年3月、三菱自動車に株式公開買い付け(TOB)を実施し、出資比率を9・24%から20%に引き上げて持ち分法適用会社とした。1株749円で総投資額は1200億円だったが、三菱自の2月12日の終値は424円と約4割下落している。減損は株価ではなく将来稼ぎ出すキャッシュの力で判断されるが、三菱自の主力市場である東南アジアでの販売は低迷し、不確定要素も多い。
一方の伊藤忠は15年、中国中信集団(CITIC)の株式10%を6000億円で取得した。当時の株価は13・8香港ドルだったが現在は9・4香港ドルに急落。ただし伊藤忠は「株価低迷が長く続く」と判断し、18年11月に1433億円の減損処理を行っている。
今期の三菱商事の連結純利益予想は5200億円。対する伊藤忠5000億円。三菱自が将来の収益見通しをどう立てるかにもよるが、三菱商事が300億円前後の減損処理に踏み切れば、伊藤忠の首位奪還が視野に入る。