新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 よみがえる宇沢弘文

宇沢弘文の激白 ラーナーにとっての“ゴミ”がサミュエルソンの偉大な研究

 1961年にサミュエルソンが米国経済学会の会長講演をした時、いまでも強く印象に残っていることがある。会長講演は、ふつうは新しい経済学の方向とか流れを話すのだが、サミュエルソンは自分がこれまでいかに偉大な仕事をしてきたかというニーチェ的な講演をした。

 彼は自分がいままでやってきた仕事を振り返って、いちばん偉大な仕事として「要素価格均等化の法則」を挙げた。「要素価格均等化の法則」とは、こういうことだ。貿易が自由に行われれば、日本と米国はドルと円で換算すれば、牛肉でもコメでも同じ価格になるわけだが、サミュエルソンはそれからさらに一歩進んで、生産要素、つまり労働や資本の価格も等しくなる、均等化する法則を証明した。

 ただ、これはもともとヘクシャーとかオリーン(ともにスウェーデン)が「部分的な均等化法則」ということを証明している。たとえば、昔は日本は資本が少なく労働が多い。そうすると、賃金が安くて利子率は高い。ところが、貿易を自由化すると、日本と米国の間の賃金格差とか利潤率、あるいは利子率の格差も小さくなっていくというものだ。

残り2356文字(全文2821文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事