教養・歴史アートな時間

映画 子どもたちをよろしく 傷つけ合う子どもたちを通して大人社会の「ゆがみ」問う=勝田友巳

(c)子供たちをよろしく製作運動体
(c)子供たちをよろしく製作運動体

 いじめは、今のように大きな社会問題になる前から、映画のかっこうの題材だった。主人公が弱い立場に置かれていることの象徴だったり、複雑な人間関係の道具立てになったり、あるいはいじめそのものが主題ともなった。苦難と成長、友情や復讐(ふくしゅう)といったドラマの契機としてうってつけなのだろう。しかし意外と、いじめの背景にまで踏み込んだ作品にはお目にかからない。「子どもたちをよろしく」はいじめばかりではなく、子どもたちを取り巻く厳しい環境を観客に示し、大人社会のゆがみを問いかけている。

 同級生にいじめられる洋一(椿三期)と、いじめっ子の一団にいる稔(杉田雷麟)が、物語の中心だ。洋一は、父親・貞夫(川瀬陽太)と2人暮らし。貞夫は無店舗型風俗店(デリバリーヘルス=デリヘル)の運転手でギャンブル中毒、金を入れず家は荒れ放題。一方の稔は、両親とも連れ子の再婚家庭。実父・辰郎(村上淳)は酒乱で家族に暴力を振るい、義母・妙子(有森也実)は辰郎の顔色をうかがうばかり。妙子の娘で稔の義姉・優樹…

残り703文字(全文1144文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月23日号(8月16日発売)

電力危機に勝つ企業12 原発、自由化、再エネの死角 オイルショックを思い出せ ■荒木 涼子/和田 肇15 電力逼迫を乗り越える 脱炭素化が促す経済成長 ■編集部16 風力 陸上は建て替え増える 洋上は落札基準を修正 ■土守 豪18 太陽光 注目のPPAモデル 再エネは新ビジネス時代へ ■本橋 恵一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事