教養・歴史アートな時間

美術 生誕120年・没後100年 関根正二展=石川健次

    《信仰の悲しみ》1918年 油彩、カンヴァス 大原美術館蔵 重要文化財
    《信仰の悲しみ》1918年 油彩、カンヴァス 大原美術館蔵 重要文化財

     絵を見て妄想に耽(ふけ)るのが好きだ。気色悪いと自分でも思う。でも、そうなのだから仕方がないと開き直ってもいる。20歳と2カ月で夭折(ようせつ)した画家、関根正二(1899〜1919)の《信仰の悲しみ》は、際限のない妄想に私を駆り立てる、大好きな一点。図版の作品だ。

     約5年という短い創作活動のなかで関根が遺(のこ)した作品は油彩画が数十点、素描や挿絵、さらに未発表のものを加えても200点ほどという。新発見の作品や交流のあった画家の作品を含め、「近代日本の短い青春時代とされる大正期を象徴する画家」(本展図録から)と謳(うた)われる関根の画業と生涯に本展は迫る。

     肝心の作品に触れる前にプロフィールを──。福島県白河市に生まれ、小学生の時に東京に移り住んだ関根は、貧しい境遇で画家を志す。十代半ばの頃だ。戯曲「サロメ」で知られ、「俗物の顔を見るのがいやで、林檎(りんご)をかじりながら外を歩いていた」(同)など奇行でも知られたオスカー・ワイルドをまねて、「関根自身も同じ事をやって電柱にぶつかった」(同)など破天荒な行動が目立つのもこの頃だ。

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