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教養・歴史 書評

『危機と人類(上・下)』 評者・池内了

著者 ジャレド・ダイアモンド(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授) 訳者 小川敏子、川上純子 各1800円 日本経済新聞出版社

国家危機に伴う変化を検証 日本が克服すべき課題も指摘

 ジャレド・ダイアモンドといえば、文化人類学の視点から、世界各地で生起した文明の盛衰の原因を探るという重要な仕事を積み重ねてきた。本書も文明論に関する著作で、1940年代以後に生じた日本を含めたいくつかの国家変動に伴う危機の事例への対処を解析し、さらにどのような未来が待ち受けているかを考察したもので、多くの示唆を与えてくれる名著である。

 著者は、まず個人が遭遇する危機の要因を挙げ、それぞれにどう対応し、どんな帰結があったかを整理する。そこで強調していることは、危機の前後に生じた「選択的変化」である。危機に遭遇して変わった側面と変わらないまま現状を維持した側面がどう選択され、それで結果的に何がもたらされたかを検証すべきということである。そして、この観点を国家の危機に当てはめて国家行動を解析し、そこから得られた教訓や取り残された問題…

残り769文字(全文1228文字)

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経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中郁次郎 一橋大学名誉教授「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化■大垣昌夫23 Q&Aで理解す [目次を見る]

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