教養・歴史書評

『危機と人類(上・下)』 評者・池内了

     ジャレド・ダイアモンドといえば、文化人類学の視点から、世界各地で生起した文明の盛衰の原因を探るという重要な仕事を積み重ねてきた。本書も文明論に関する著作で、1940年代以後に生じた日本を含めたいくつかの国家変動に伴う危機の事例への対処を解析し、さらにどのような未来が待ち受けているかを考察したもので、多くの示唆を与えてくれる名著である。

     著者は、まず個人が遭遇する危機の要因を挙げ、それぞれにどう対応し、どんな帰結があったかを整理する。そこで強調していることは、危機の前後に生じた「選択的変化」である。危機に遭遇して変わった側面と変わらないまま現状を維持した側面がどう選択され、それで結果的に何がもたらされたかを検証すべきということである。そして、この観点を国家の危機に当てはめて国家行動を解析し、そこから得られた教訓や取り残された問題…

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