東京市場 ストラテジストが読む 実体経済と株式市場にギャップ=三宅一弘
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新型コロナウイルスの感染拡大で人の移動や物流が制限され、「世界の工場」の中国は生産供給体制が寸断状態だ。中国を筆頭に感染が広がる東アジアでは国内外観光が激減し、外食、ホテル、旅行、小売り、物流、娯楽などに深刻な悪影響が出ている。
6%程度とみられた中国の実質成長率は今年1~3月期に4%前後まで急減速との見方が広まるなど、上期の世界経済に暗雲が垂れこめる。一方で、米国や欧州の株価は乱高下を交えながらも最高値圏にある。日本株や中国株も何とか踏ん張っている。警戒感が強い実体経済と株式市場の間にギャップがある。通常は実体経済に先行して動く株価が遅行しているようにみえる。
欧米中心に株価堅調の主因として、新型肺炎の影響で世界経済が落ち込んでも一時的で、ハイテク分野における技術革新の大波は不変との見方や、米国経済に下ブレ不安が出てくれば、金融当局が予防的利下げを行うとの中央銀行への信頼感が挙げられる。また、最大の懸念要因であった米中貿易戦争が休戦になったこと、欧米では新型肺炎の感染者が少なく、いずれ終息に向かうとの期待が優勢であること、民主党の大統領候補は左派のサン…
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週刊エコノミスト
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