教養・歴史書評

『リブラの野望 破壊者か変革者か』 評者・平山賢一

     本書は、2019年にセンセーショナルに登場した新デジタル通貨「リブラ」について、その仕組みと評価を手っ取り早く理解するために格好の書となっている。専門書として深掘りするのではなく、概括的に全体像を描こうとする試みは、現在進行形の金融事情をバランスよく整理するのに都合がよい。

     歴史を振り返ると、グローバル社会の大きな転向期には、必ずと言ってよいほど通貨の仕組みも変わってきた。第一次世界大戦期の金本位制離脱、第二次世界大戦末期のブレトンウッズ体制構築、高インフレ時代の幕開けとなったニクソンショックなどである。「ビットコイン」をはるかに上回り、世界中の人々の耳目を集める「リブラ」は、通貨システム転換のきっかけになる可能性もあり、大きな社会の変化の予兆として、リアルタイムでの状況把握に努めたいところ。

     一方、これほどまでに批判が大きい試みも珍しい。構想が発表されてから、蜂の巣をつついたような批判の大合唱。経済学者も金融当局も、さらに政治家まで、問題点指摘の声であふれている。

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