教養・歴史書評

ポピュリズム蔓延の現代 人権抑圧に向け警世の書=孫崎享

×月×日

 日本の憲法学者では樋口陽一、長谷部恭男、小林節、愛敬(あいきょう)浩二、青井未帆氏らは頂点にいる人々である。この方々が2014年「国民安保法制懇」を立ち上げられ、私も加わらせてもらっている。時たま会合がある。

 各人が発言していても、樋口氏が話されると皆は傾聴する。彼はまた、エレガントでおしゃれな方でもある。たぶん、今日「日本の知性5人」を選ぶとなると、必ずその中に入るのではないか。

 その樋口氏が『リベラル・デモクラシーの現在 「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで』(岩波新書、840円)を出された。岩波新書では1979年の『比較のなかの日本国憲法』、89年の『自由と国家』、99年の『憲法と国家』に次いで4冊目である。今日の時世が4冊目の本を書かせたのであろう。

残り987文字(全文1328文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月10・17日合併号

EV戦争202314 BYD、実質253万円の黒船EV 圧倒的な低価格で日本に照準■稲留正英17 トヨタのEV戦争 ソフトと製造の競争力確立が急務■中西孝樹23 中国で日本車苦戦 大衆車市場でシェア落とす■湯進26 急成長テスラ サイバートラックは予約200万件■土方細秩子28 日本車への警鐘 EV [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事