むやみなマンション建て替えは不要/38
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人間と同じように、どんなマンションにもいつかは寿命が来て、建て替えを検討する時がやってくる。しかし現実には、マンションの建て替えには実に多くの障壁があり、実例は少ない。2019年4月1日時点で、これまでに行われたマンションの建て替えは、実施準備中を含めても278例に過ぎない。
マンションの建て替えを実現するためには、解体費や建設費など、数千万円のコストがかかるが、所有者全員が足並みをそろえてこの莫大(ばくだい)な費用を捻出するのは容易ではない。老朽化したマンションは入居者の高齢化率も高く、資金に余裕がない世帯も多かったり、「今さら建て替えなど必要ない」と考える人も多い。合意形成は極めて困難で、建て替えができない大きな原因になっている。
マンションを建て替える場合、居住者が所有している土地にマンションデベロッパーが建物を建設し、完成後に居住者とデベロッパーがそれぞれの出資比率に応じた割合で土地建物を取得する形式が多い。これまでに建て替えが可能だったマンションは、容積率が余っていたために建て替え前よりも大きな建物を建てることができた。
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週刊エコノミスト
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