教養・歴史書評

軍と政党は一卵性双生児 陸軍の政治化詳細に追う=井上寿一

     日本近代史における悪役が軍部、なかんずく陸軍であることはいうまでもないだろう。このような既存の陸軍像に対して、小林道彦『近代日本と軍部 1868-1945』(講談社現代新書、1300円)が陸軍の実像を明らかにする。

    『政党内閣の崩壊と満州事変』(ミネルヴァ書房)などでの史料実証に徹した鋭利な分析で知られる日本近代史の専門家の著作であるから、信頼性は高い。また新書でありながら、近代日本の陸軍の歴史を描くには500ページを超える紙幅が必要だったことも、容易に想像できる。本書はどのような近代日本の全体像を描き出しているのか。

     著者は次のように強調する。近代日本の軍隊と政党は、水と油のような関係にみえながら、実際には「士族という母胎から生まれた一卵性双生児」だった。このことが近代日本の政治と軍事の関係と軍部のあり方に影響を及ぼしている。

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