教養・歴史書評

臨時休校で注目の電子書籍。格差懸念も=永江朗

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、電子書籍の存在感が増している。

 安倍晋三首相が全国一斉休校とするよう要請したのが2月末。いち早く反応したのが出版大手の小学館や集英社、KADOKAWAで、コミック誌や児童書、学習漫画などの電子書籍を無料で提供開始した。休校中の児童・生徒たちが自宅で読めるようにするためである。その後、20を超える出版社が無料提供を始め、ジャンルもコミックや児童書だけでなく、図鑑や学習参考書などにまで広がっている。提供方法もさまざまで、自社サイトからの配信のほか、ネット書店の無料本コーナーにアップする出版社や動画サイトのユーチューブで公開する出版社もある。

 東日本大震災の直後にも、災害医療に関する専門誌記事や原発についての記事、書籍の一部を無料公開した出版社があったが、今回はそうした動きがさらに大きく広がった。この9年間で、電子書籍をめぐる環境がいかに変わったかを痛感する。もちろん被災地のライフラインが壊滅的打撃を受けた震災と今回の感染症流行を単純に比較することはできない。

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