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中国経済データは前代未聞の急落=藻谷俊介

 新型コロナウイルスは決して致死性の高いものではないとはいうものの、拡散のスピードには、目まいを感じるほどの勢いがある。

 3月26日までの7日間のデータで計算すると、累計感染者数が10倍になるのにかかる日数は、米国でわずか9日、ドイツと英国が13日、イタリアが24日、日本は48日。重心はとうにイタリアを離れ、後発の英独、そして米国へと急速に移動している。いずれも時間の経過とともに少しずつ緩やかになる傾向はあるが、日本にいると、欧米の医療崩壊含みの緊迫感を理解し損ねるリスクがある。米国で2兆ドルもの経済対策が出てきたのには、理由があるのだ。

 他方、先行した中国では2月の経済データが発表され、これも別の意味でショックをもたらしている。図1は中国の鉱工業生産指数の季節調整値であるが、たった1カ月の間にピークの約3分の1を失うという記録的な悪化を示した。戦後の主要国の統計では目にしたことのない“絶壁”である。

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