教養・歴史闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 近所に乗り捨てられたポンコツ車をのぞくと7匹の子猫がニャーニャーと甘えた声を出している。生まれて数日といったところか。母猫は留守のようだ。その可憐(かれん)さを家族の皆にも見せたくて、とびっきり美貌な子を連れて帰った。

 親の反応は予想外だった。「野良猫は人間の臭いが嫌いなの。すぐに返しておいで」。

 しょんぼりと戻る途中、子猫をくわえてせっせと引っ越ししている母猫の姿が遠くに見えた。巣が荒らされたことを察したのだろう。私は大切に抱いた一匹を、母猫に気付かれないよう、こっそりと戻した。

 ところが翌日、車をのぞくと、あの子が母猫に放置されているではないか。その翌日も、またその翌日も。

残り503文字(全文796文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事