教養・歴史書評

生産的議論に向け 情報を強力アップデート=荻上チキ

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    『移民と日本社会』(永吉希久子著、中公新書、900円)は、移民についての議論を整理するために有用な研究成果が網羅されている。

     日本政府は外国人労働者の永住を絞っており、各種政策を「移民政策ではない」と説明してきた。しかし国連やOECD(経済協力開発機構)などによる「移民」の定義には、永住意図の有無は含まれていない。「生まれた国から一時的なものを含め、他の国に移り住んだ人」。この定義によれば、日本にはすでに多数の「移民」が存在することになる。

     移民は日本社会の中で、低賃金で経済的に不安定な雇用を担う人材として、政策を通じて意図的に拡大されてきた。他方で移民について政府は、単純労働者や永住者ではないと位置づけるために、あくまで日系人の里帰りであるといった建前を取ったり、技能実習制度を作り、「労働ではなく学習のため」という論理を繰り出したりしている。

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