失業者100万人増加の恐れ=斎藤太郎
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政府が緊急事態宣言を発令したことで、今回の景気悪化がリーマン・ショック級になることは確実となった。筆者は実質国内総生産(GDP)について、2019年10〜12月期の前期比年率7・1%減の後、20年1〜3月期が同4・1%減、4〜6月期が同15・3%減と、3四半期連続の大幅マイナス成長を予想している。
政府は緊急事態宣言と同時に事業規模108・2兆円の緊急経済対策を閣議決定した。事業規模は過去最大だが、財政支出はその4割弱の39・5兆円である。また、財政支出の中には19年12月の経済対策のうち今後効果を発現するものや、緊急対応策第1弾・2弾、財政投融資が含まれており、20年度補正予算案の規模は18・6兆円にとどまる。緊急経済対策は「雇用の維持と事業の継続」に重点を置いているが、今後見込まれる経済活動の急速な落ち込みに対して十分な規模とは言えず、失業率が大幅に上昇することは避けられないだろう。
1980年以降のデータを用いて実質GDPと失業率の関係(オークンの法則)を計測すると、GDPギャップ(〈実質GDP−潜在GDP〉/潜在GDP)が1%拡大すると、失業率ギャップ(失業率−構造失業率)が0・2%強上昇する傾向があることが確認できる(図1)。
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週刊エコノミスト
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