新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

壮大な騎馬民族の視点で相対化した中国史の良書=加藤徹

 古松崇志著『草原の制覇』(岩波新書、840円)は「シリーズ 中国の歴史」全5巻の第3巻だ。本シリーズの特徴は、中国を「草原・中原・江南・海域」に4分し、それぞれを有機的に結びつけて語る点にある。古松ら5人の著者がそれぞれ1巻を担当し、今年3月に刊行された第3巻が最新刊となる。

 中国史を人体にたとえると、頭は古代・中原の第1巻。肩から腰までの右半身は、江南・海域を中心に南宋までを扱う第2巻。第3巻は、左肩から腰まで。草原を原郷とする騎馬遊牧民が、千年の歳月をかけて中原まで浸透し、モンゴルに至り「中国」を完成するまでを説く。

 本巻の主人公は騎馬遊牧民だ。彼らの原郷は「中央ユーラシア」である。東はマンチュリア(地名としての「満州」)から西は東ヨーロッパまでの、広大な草原地帯だ。歴代の中国王朝の領域が、大陸の片隅の小国に見えてくる。

残り546文字(全文914文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事