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教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

「枯渇しない」石油のナゾ 採掘技術の進歩で増える「埋蔵量」/4

(出所)鎌田浩毅著『資源がわかればエネルギー問題が見える(PHP新書)より
(出所)鎌田浩毅著『資源がわかればエネルギー問題が見える(PHP新書)より

 温室効果ガスを排出する石油の使用が世界的に一向に減少しない。地球上の埋蔵量は有限のはずだが、石油は「あと40年以上」枯渇しないと言われ続けている。今回はその不思議を解き明かし、将来いつまで使えるのかを考えてみよう。

 地下3~5キロの地層にたまる石油は、過去の生物遺骸が変化したものである。数億年前の有機物が地中に埋もれてから何千万年の時とともに変成し、炭素と水素を含む化石燃料となった。海底や湖底に堆積(たいせき)した大量の微生物が長い間に分解・変質して原油となり、地層中を非常にゆっくり移動する。それが大量にたまった場所が油田である。すなわち特殊な地質構造をもつ場所だけから生産されるのだ。

 こうした油田を見つけるには、地層の歴史と動きを明らかにする地質学が重要になる。そのため油田の発見探査には地質学者が関わり、掘削や生産を担当するエンジニアと協力し油田開発を行う。そもそも地下に埋もれている石油は、すべてが採掘できるとは限らない。そこで、ある油田に存在する原油の全量を示す「原始埋蔵量」と、その中から採掘できる「可採埋蔵量」とを分けて考える(図)。後者はコストの面から採算が成り立つ限界…

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