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教養・歴史 書評

社会を締め付け制度疲労 明朝が歩んだ自壊の過程=加藤徹

 中国は「放(ファン)」(自由化)と「収(ショウ)」(引き締め)の繰り返しだ。毛沢東が中国共産党への批判も歓迎するとした1956年の「百花斉放、百家争鳴」は「放」。批判者を弾圧した57年の「反右派闘争」は「収」。62年からの劉少奇時代の雪解けは「放」、毛沢東が再び権勢を振るった66年からの「文化大革命」は「収」……。

 中国史上、最強の「収」の時代は「明初」だ。明王朝(1368〜1644年)の初代・洪武帝から第3代・永楽帝までの治世である。檀上寛『陸海の交錯 明朝の興亡』(岩波新書、860円)は、明帝国の完成から自壊までを、冷徹に浮き彫りにする。

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