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休業者の動向が失業率を左右する=斎藤太郎

(注)左右の状態間のフロー(一定期間の変化量)を比較し、多いほうのフローが少ない方のフローよりどれだけ上回ったかを表示 (出所)総務省統計局「労働力調査」より筆者作成
(注)左右の状態間のフロー(一定期間の変化量)を比較し、多いほうのフローが少ない方のフローよりどれだけ上回ったかを表示 (出所)総務省統計局「労働力調査」より筆者作成

 2%台前半で推移していた日本の失業率は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請、緊急事態宣言を受けて、2020年3月からの3カ月で0・5ポイント上昇し、5月には2・9%となった。

 改善傾向にあった雇用情勢が悪化に転じたのは確かだが、経済活動の急激な落ち込みからすれば、失業率の上昇は限定的だ。

 失業率の上昇を抑制している一因は、非労働力化の進展である。就業者数は20年4月に前年差80万人減と7年4カ月ぶりの減少、5月も同76万人減となった一方、失業者数は4月が前年差13万人増、5月が同33万人増と、就業者の減少に比べ増加は小幅だった。

 非労働力人口は、4月に前年差58万人増と4年11カ月ぶりに増加に転じ、5月も同37万人増となった。この中には、職を失った後に求職活動を行わなかったために非労働力人口となった人たちが含まれると考えられる。非労働力化した人が職探しを始めれば、その一部は失業者となる可能性が高い。

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