教養・歴史書評

各時代の世界が一目瞭然 画期的な歴史地図に学ぶ=本村凌二

 ときには掛け値なしに薦めたい本がある。今役立つだけでなく、一生にわたっていつでも使えそうな教養本でもある。DK社編著、スミソニアン協会監修『ビジュアルマップ大図鑑 世界史』(東京書籍、6500円)は絶えず机上の近くに置いておきたい本である。

 そもそも世界史と地理は切っても切り離せないものがある。長い時間と広い空間という二つのアプローチを一つに体現するのが歴史地図である。人類の誕生からグローバル世界の現代までの諸時代の世界をそれぞれ両ページ見開きのまま一望できるとすれば、大助かりではないだろうか。しかも、全てが多彩なカラーで描かれているし、さまざまな遺跡や図版も満載されており、複雑な内容でも容易に理解できるのだ。

 ローマ帝国とオスマン帝国の見開きを比べてみるだけで、西欧を除く大半が同一の支配下にあったことが分かる。バルカン半島東部沿岸はローマの属州ダルマティアであったが、その地はラグーサ共和国としてのちにオスマン帝国に服属した。

残り483文字(全文903文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

3月28日号

東証再編1年 日本株の大逆襲18 大日本印刷、カナデン…… 本気出し始めた低PBR株 ■安藤 大介21 60年ぶり大改革の東証再編 「骨抜き」批判についに本腰 ■編集部23 スクリーニングで探す 株主還元が期待できそうな120銘柄26 プライム経過措置 適用企業の8割が基準未達 スタンダード移行の救 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事