教養・歴史書評

戦争とは何なのか 視覚伝達による体験継承=井上寿一

 モノクロの写真がカラーになると、遠い過去も今と地続きになる。庭田杏珠×渡邉英徳『AIとカラー化した写真でよみがえる 戦前・戦争』(光文社新書、1500)に収録されているカラー写真は、近過去のような戦前・戦争の実像を伝える。

 ショッキングな写真を示すことで戦争の悲惨さを訴える意図はない。ありふれた日常の写真のなかに戦争の予兆が潜む。理髪店の様子や夜店の金魚すくい、幼稚園の遊戯会、これらの写真の間に挟まれているのは、空襲に備えて訓練する防毒マスクを着用した異様な姿の僧侶たちの写真である。ほかには「パーマネントのお方は当町通行を御遠慮下さい」の立札。それを見る後ろ姿の女性の気持ちはどうだっただろうか。

 写っているのは日本国内だけではない。米国側の視点からの日系人強制収容所や特攻機の突入で炎上する空母、B29の機内から撮影された空襲の写真もある。

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