資源・エネルギー沸騰! 脱炭素マネー

EU 水素に10年で50兆円超 欧州企業の優位確立へ=足達英一郎

    フォンデアライエン欧州委員長は、グリーンディールを「成長戦略」と位置づける(Bloomberg)
    フォンデアライエン欧州委員長は、グリーンディールを「成長戦略」と位置づける(Bloomberg)

     ユーロ圏19カ国の2020年4~6月期の実質域内総生産(GDP、速報値)は、年率換算で40・3%減で、過去最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルス感染症の経済への影響は、米国や日本より深刻だ。一方で、ユーロは対ドルで2年ぶりの高値を付けているのは意外である。欧州連合(EU)各国首脳が7月に復興基金創設で合意し、協調関係維持が好感されているとの解説が専らだが、昨年12月に欧州委員長に就任したフォンデアライエン氏が新執行部発足と同時に掲げた政策「欧州グリーンディール」が一定の説得力を有していることも有力な要因だろう。

     グリーンディールはパリ協定に沿い、「50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標実現に向けた環境政策である。同時に、経済社会の構造転換を図る「新たな成長戦略」でもある。委員長が「温室効果ガス排出の削減に努める一方、雇用創出とイノベーション(技術革新)を促進する」と強調するように、対象はエネルギーから産業、運輸、農業、金融など広範な産業に及び、今後10年で官民で少なくとも1兆ユーロ(約125兆円)規模を投じる計画だ。コロナの流行以降は、落ち込んだ経済を復興させる「グリーンリカバリー」と形容されるようになった。

     環境対策にこそ、イノベーションと新規市場の鍵があり、その主導権を握る──。そんなEUの野心は、欧州委員会が7月8日に発表した「水素戦略」ににじむ。生産過程で二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー由来の水素を、30年までに1000万トン生産する体制を整え、約50兆円規模の関連投資をする構想だ。日本政府が17年12月に掲げた水素基本戦略では30年の水素供給目標が海外調達分を中心に30万トンなのに比…

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