教養・歴史書評

文明の「合散離集」と人口変動を追う中国史=加藤徹

    「人口」は「人の口」だ。想像してほしい。億万の「口」が毎日モノを食べてうごめくさまを。中国史の主役は、英雄でも美女でもない。数千年にわたり増殖と激減を繰り返してきた無数の「口」だ。

     上田信『人口の中国史』(岩波新書、820円)は、先史時代から19世紀まで中国の人口の変動史を追い、数字の裏の歴史を読み解く。

    「これまでの日本の東洋史学の問題点の一つは、王朝ごとの「断代史(だんだいし)」(通史ではなく一王朝の出来事のみ記述すること)を束ねて『中国史』として事足りたとしてきたことである」と言う著者は「合散離集の中国文明サイクル」という見方を提唱する。文明は、安定した段階の「合」、求心力が低下する「散」、新しい文明の可能性が複数生まれ争い合う「離」、そのうちの一つだけが生き残り全体を統合する「集」を経て、最…

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