経済・企業バフェットvs商社

神様が認めた日本企業 利益を伸ばす貪欲さ学ぶ=木下聡

2011年11月に来日し、新工場の視察に訪れたバフェット氏(手前中央)(タンガロイ提供)
2011年11月に来日し、新工場の視察に訪れたバフェット氏(手前中央)(タンガロイ提供)

 2011年11月21日。バフェット氏は、福島県いわき市に新設した当社工場を視察するため、ヘリコプターで午前11時に到着した。竣工(しゅんこう)式後は工場内を見学し、私たちの説明に熱心に耳を傾けた。

食事はハンバーガーだけ

 午後8時に帰るまで、従業員と食事会を通して交流した。和食も用意したが手を付けず、食べたのは肉をパンで挟んだ「プレーンハンバーガー」と「チェリーコーク」だけ。当初、11年の新工場竣工に合わせて3月に来日する予定だった。ただ、東日本大震災が発生し、予定を8カ月延期して実現した。日本の復興の早さにバフェット氏が「よくここまで回復できたな」と、感心していたのが印象に残っている。

 当社が、米バークシャー・ハサウェイが100%出資するイスラエル系工具メ-カーIMCに買収されたのは、リーマン・ショック直後。アジア地域でM&A(企業の合併・買収)を検討していたIMCと持続的成長策を探していた当社との利害が一致した。バフェット氏がIMC株式の8割を取得したのは、当社を買収する2年前の06年。社員を家族のように大切にして、技術力を日々磨き、当時、世界に通用する高いブランド力を持つI…

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