経済・企業バフェットvs商社

脱「純血主義」 東京一極集中「お役所体質」の限界=五十嵐雅之

「海外出張できず買収交渉がストップ」「折角の機会だから調査に没頭」。コロナ禍における総合商社の“日常”である。安全第一でリモートワーク(在宅勤務)を心掛けること、事業構想をじっくりと練りあげることはもちろん大切だが、産業界は動きを止めてはくれない。

 M&A(企業の合併・買収)統計を見ると、2020年₄月以降の半年間で、日本企業による海外企業買収件数が約半減した一方、海外企業による日本企業の買収は、ほぼ横ばいだった。リーマン・ショック(08年)後もそうだったが、景気後退時の投資はリターンが高いことを歴史が証明している。これらが物語るのは、真のグローバル企業なら厳しい環境下でも、優良な事業機会を全世界的に獲得し続けているということだ。

 総合商社は、ここ20年でトレーディングから事業投資に軸足をシフトさせ、巨額の純利益を稼ぎ出すまで成功を収めた。ビジネスモデルは大きく進化したが、組織・人材マネジメントはその変化に追いついていたのだろうか。残念ながら、その答えはノーだ。

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