新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 小柴さん追悼

ニュートリノをめぐる冒険/2 大気ニュートリノ問題とニュートリノ質量=須藤靖 サイエンス最前線

岐阜県飛騨市神岡町にある
スーパーカミオカンデ
岐阜県飛騨市神岡町にある スーパーカミオカンデ

 前回の「ニュートリノをめぐる冒険①」は、素粒子としてのニュートリノ研究の歴史と、太陽ニュートリノと超新星ニュートリノの発見を紹介した。いよいよ今回は、梶田隆章氏のノーベル賞受賞対象となった大気ニュートリノ問題とニュートリノ質量について解説してみたい。

大気ニュートリノの謎

 太陽ニュートリノは太陽の中心部で発生したニュートリノ、超新星ニュートリノは大質量星の最期の超新星爆発の際に発生したニュートリノであり、いずれも地球外の天体がその起源である。これに対して、大気ニュートリノは地球の大気中で発生したニュートリノである。そして、この大気ニュートリノこそ質量がゼロと考えられていたニュートリノに質量があることを証明するきっかけとなった。

 実は宇宙には高いエネルギーを持った大量の粒子が飛び回っている。これらの粒子は宇宙線と呼ばれ、常に地球にも降り注いでいる。その際、宇宙線の主成分である陽子は、地球の大気中の原子核と衝突して、パイ粒子と呼ばれる粒子を生成する。正あるいは負電荷を帯びたパイ粒子はミュー粒子とミューニュートリノに崩壊する。さらにこのミュー粒子は、地表に到達する前に、電子、電子ニュートリノ、およびミューニュートリノに崩壊す…

残り3830文字(全文4350文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事