教養・歴史書評

「極私」の日記として読み直す新たな試み=今谷明

 藤原定家(ていか)といえば、小倉百人一首や新古今和歌集撰者(せんじゃ)として、また「三夕(さんせき)」(新古今集の「秋の夕暮れ」を結びとする3首の名歌)の一人として、もっぱら歌詠(よ)みの側面が知られている。しかし『更級(さらしな)日記』の復元的研究から「定家仮名遣(かなづかい)」と呼ばれるように、王朝文学の研究家、国語学者としても専門家から重視されている。

 だが何と言っても、彼の日記『明月記(めいげつき)』の面白さから、主として歴史学者に鎌倉初期の記録家として尊重されているのは周知のところ。時代が公家政治から武家政治への転換期にあたり、源平の内乱、承久(じょうきゅう)の乱などにまたがることから、なおさら史家の注目を浴びて今日に至った。

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