映画 バクラウ 地図から消された村 歴史、暴力、呪術、闘い…… ジャンルを越境する快作=怪作=勝田友巳
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南米大陸の映画は油断ならない。ドキュメンタリーでも娯楽作でも、気楽な話だと思っていると実は血塗られた歴史が沈殿していて、それが不意に顔を出す。
いくつものジャンルが融合したようなこのブラジル映画も、予想を裏切りながら観客を引き回し、思いも寄らぬところに連れて行く。
人里離れた片田舎にあるバクラウに、タンクローリーに乗ったテレサが帰郷する。祖母の葬儀のために、水を運ぶ車に同乗したのだ。久しぶりに村を訪れたテレサとともに、観客はバクラウに入り込む。
バクラウは水が不足しがちで、原因は市長が利権のために造ったダムにあるらしい。再選を目指す市長が村人の歓心を買おうと訪れると、姿を隠し罵声を浴びせる。子どもたちに勉強を教える長老、少々いかれた老女医、犯罪の過去があるらしいリーダー格の男。わけありげなバクラウの村と住民たちを、思わせぶりに点描してゆく。
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週刊エコノミスト
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