週刊エコノミスト Online闘論席

古賀茂明の闘論席

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 菅義偉首相は、規制改革を全力で進めると宣言したが、何のための改革かは、依然として判然としない。ハンコ撲滅や携帯料金の値下げは経済効率向上が主眼で、不妊治療の保険適用は、少子化対策が本音だろう。規制改革に携わる関係者の声を聞く限り、菅首相は、従来型の「日本経済のため」の改革しか頭にないようだ。

 一方で、これらの改革とは異なる「新たな改革」も必要だということは、あまり認識されていないのではないか。

「新たな改革」をより具体的に言えば、「人に優しく」「自然(地球)に優しく」「不公正に厳しい」改革である。いずれも経済効率とは対立することが多い。その意味で、こうした改革を追求することは、「改革の改革」と言える。実は、日本が1人当たりGDP(国内総生産)など経済面で先進国上位に上り詰めた1980年代以降、本来は、改革路線もこちらに切り替えるべきだったのだが、日本はそれができなかった。

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