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週刊エコノミスト Online 学者が斬る・視点争点

円高の犯人は安全通貨神話=吉田裕司

理論で説明できない為替市場

 外国為替市場における近年の日本円実効為替レート(円平均レート)を見ると、円高に動いた局面が何度かある。

 まず、グローバル金融危機が顕在化した2008年9月。16年の米国大統領選時と英国のEU(欧州連合)離脱問題が顕在化した際にも、大きく円高方向に動いた。

 そして20年、新型コロナウイルスの感染拡大によってグローバルリスクが高まる中、円高が進んだ。3月9日には対ドルで最大3・6%の円高となった。

 このような動きは、為替レートのファンダメンタルズ(基礎的要因)によるものなのか。それとも、日本円がリスク回避の安全通貨と認識されているためなのか。為替レートの理論モデルに言及しながら検討してみたい。

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