教養・歴史書評

社殿の出現に注目し神社の意義を説く入門書=今谷明

 今冬は「3密」回避の目的から、せっかくの初詣を延期または変更した人も多かったに違いない。しかしこの初詣は、我々日本人の信仰というよりは、年始を迎えるにあたっての慣習のようなことになっている。

 また初詣は、必ずしも神社に限らず、寺院(例えば川崎大師など)への参拝もあり得る。そこで神社(時には仏寺も)とは日本人にとって何なのかが問題となる。島田裕巳著『教養として学んでおきたい神社』(マイナビ新書、870円)は、そのような問題を歴史的にさかのぼって考察した分かりやすい入門書と言える。

 神社の問題は、明治以降、国家神道に組み込まれ、昭和初期には軍部に利用された側面があり、近代史のみの視点でこれを説明するのは無理で、幕末以前に長い前史があり、その解明が不可欠である。また神社は皇国史観の裏の一面でもあったので、戦後歴史学には敬遠されがちであった。島田氏の著は、宗教学の立場から啓蒙(けいもう)的に説いたもので、時宜を得た書物と言えよう。

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