教養・歴史書評

社殿の出現に注目し神社の意義を説く入門書=今谷明

     今冬は「3密」回避の目的から、せっかくの初詣を延期または変更した人も多かったに違いない。しかしこの初詣は、我々日本人の信仰というよりは、年始を迎えるにあたっての慣習のようなことになっている。

     また初詣は、必ずしも神社に限らず、寺院(例えば川崎大師など)への参拝もあり得る。そこで神社(時には仏寺も)とは日本人にとって何なのかが問題となる。島田裕巳著『教養として学んでおきたい神社』(マイナビ新書、870円)は、そのような問題を歴史的にさかのぼって考察した分かりやすい入門書と言える。

     神社の問題は、明治以降、国家神道に組み込まれ、昭和初期には軍部に利用された側面があり、近代史のみの視点でこれを説明するのは無理で、幕末以前に長い前史があり、その解明が不可欠である。また神社は皇国史観の裏の一面でもあったので、戦後歴史学には敬遠されがちであった。島田氏の著は、宗教学の立場から啓蒙(けいもう)的に説いたもので、時宜を得た書物と言えよう。

    残り517文字(全文935文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    3月16日号

    コロナ後に残る弁護士14 売り上げ大幅減の“マチ弁” 「デジタル」で分かれた明暗 ■岡田 英/加藤 結花17 情報発信、専門性に磨き 遠方からも稼ぐ法律事務所 ■加藤 結花18 ここまで進化 仕事にもつながる!弁護士のSNS活用術 ツイッター 大西洋一 大西総合法律事務所代表 ユーチューブ 藤吉修崇 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事