住まい選びでは「首長」もチェック/80
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およそ100年前の1919年に制定された(旧)都市計画法が49年後の1968年に新法に改められ、市街地については住宅建設を促進する「市街化区域」と、住宅建設を抑制する「市街化調整区域」に分けられた。
それから約50年。「市街化区域」は、いま思えばその範囲が広すぎた。「不動産価値を保てる市街化区域に自分の土地を入れたい」という地主の要望が強かったため、政治的妥協の産物だったとも言える。結局、その範囲が住宅で埋まる前に人口・世帯数減少社会に突入してしまった。こうした区分けが、現在はもちろん、将来の世帯数の間尺に合わないのは明白なのだから、もっと早く都市計画の根本的な見直しを行うべきだった。
しかし、現状は人口減少社会に対応したコンパクトな街づくりを目指す「立地適正化計画」という、端的に言えば中途半端な政策でお茶を濁そうとしている。この計画では、市街化区域とは別に居住誘導区域を作って人口密度を維持しようとする一方、市街化区域外でも届け出れば住宅を建設でき、実質的に市街地をほとんど縮小していない自治体が多数ある。なかにはハザードマップで浸水可能性のある地域を含んでいるところもある。計画…
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週刊エコノミスト
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