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小説 高橋是清 第128話 対華二十一カ条要求=板谷敏彦

(前号まで)

 第一次世界大戦勃発。参戦を決めた政府に再考を促すべく是清は奔走するが、日本はドイツに対し宣戦布告、青島要塞を攻略し、山東省全域の鉄道を制圧した。

 欧州大戦が始まった大正3(1914)年の夏以降、政友会総裁の原敬と是清の信頼関係は深まっていった。

 大隈内閣の加藤高明外務大臣が日英同盟を頼みとして、欧州大戦に参戦し、満州の租借期限の延長や中国大陸での利権拡張を考えている一方で、原や是清は、将来を見据えてむしろ米国との関係を重視した外交政策を考えていた。

 米国のシフからの手紙にもあったように、欧州大戦に対して日本はあくまで中立の立場をとり、中国を圧迫するのではなく、むしろ中国との連携を深めて、租借期限の延長などの問題を解決するという考え方だ。こうした外交に対する基本的な考え方において原と是清の考え方は一致した。

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