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小説 高橋是清 第127話 日本参戦=板谷敏彦

(前号まで)

 サラエボ事件により欧州戦争が勃発、第2次大隈内閣は日英同盟を名目に対独開戦を決める。日本は中立であるべきと、米国の友人ヤコブ・シフは是清に警告する。

 大正3(1914)年8月15日、日本はドイツに対して無抵抗の青島要塞(ようさい)引き渡しを条件とする最後通牒(つうちょう)を発した。期限は8月23日で、引き渡しがなければ日本はドイツに対して宣戦布告する。

 元老の井上馨が欧州大戦勃発に際して指摘した「大正新時代の天佑(てんゆう)」、この戦争によって日本にもたらされる権益は具体的に三つあると考えられた。交戦国に対する輸出によって外貨が稼げるという点は、当初さほど重要視されていなかった。

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