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教養・歴史 書評

法秩序重視の民族が好戦国家になる経緯分析=本村凌二

 20世紀初頭、世界のユダヤ人口はおよそ1100万人だったが、その半数がロシア帝国内に住んでいたという。その前世紀末からユダヤ人はアメリカやパレスチナに移住し始めており、ホロコーストによる破壊やソ連崩壊の混乱を経て、現在のユダヤ人口は少なくとも1500万人に達する。イスラエルに650万人、アメリカに600万人弱が暮らしており、1桁減って、仏、加、英、アルゼンチン、露とつづく。

 さかのぼれば、ローマ帝国に屈服して以来、ディアスポラ(離散)のユダヤ人は、迫害されても武力に訴えて反抗することなど、ほとんどなかった。ところが、耐え忍んでいたユダヤ人の間で、19世紀末ごろから、ユダヤ人国家をつくろうという運動(シオニズム)が目立つようになった。それはなぜだろうか。

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