米国 コロナ対応1年 FRB緩和縮小は22年 日本の課題は賃金上昇=加藤出
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まずは世界経済に大きな影響を与え得る米国の金利の状況から見てみよう。2020年8月上旬に0・5%近くに低下した米10年国債金利は、最近はバイデン政権の追加経済対策に伴う国債増発予想もあって1・3%前後へ上昇している。しかし、FRBの幹部はこれまでの金利上昇は許容範囲内と見ている。10年金利は依然としてインフレ率より低く、実質長期金利はマイナス圏にある。また株高やドル安といった“状況証拠”を勘案すれば金融環境は極めて緩和的と判断できるからである。
一方で、FRBは8年前の“テーパータントラム(Taper tantrum)”の再発を警戒している。これは、「Tapering」(金融緩和縮小)」と「Temper tantrum(癇癪(かんしゃく))」を組み合わせた造語で、「市場の癇癪」を意味する。13年5月に当時のバーナンキFRB議長が量的緩和第3弾のテーパリングを示唆したところ、1・6%台だった10年金利は4カ月ほどで3%近くへと急騰、実体経…
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週刊エコノミスト
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