教養・歴史アートな時間

映画 騙し絵の牙 手の込んだ“どんでん返し”も 出版社舞台の知的エンタメ=野島孝一

 本来なら2020年夏に公開される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の割を食い、公開が延びてしまった。『罪の声』に続く塩田武士の小説の映画化で、とても興味深く鑑賞した。大手出版社の内部の話だというので、ちまちました映画ではないかと思っていたが、とんでもない。出版界、書籍界全般にわたる知的、かつスリリングな内容で、夢中にさせられた。

 舞台は伝統と権威のある文芸誌「小説薫風」を柱とする東京の出版社・薫風社。オーナー社長の伊庭が倒れ、息子(中村倫也)が跡を継いで社長になるとみられたが、彼は辞令でアメリカに派遣された。社長に就任したのは社内実力者の東松(佐藤浩市)。そんな時、「小説薫風」の編集者、高野恵(松岡茉優(まゆ))は、ベテラン作家の二階堂(國村隼)に失礼を働いたとして、編集長の江波(木村佳乃)に閑職への配置換えを宣言される…

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