教養・歴史アートな時間

映画 水を抱く女 水の精が遭遇した命がけの恋 卓越した技で見せる霊異記だ=芝山幹郎

(c)SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinema 2020
(c)SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinema 2020

 ウンディーネ(仏語ではオンディーヌ)は水の精だ。ウンディーネには魂が欠けている。魂を得るためには人間の男と結ばれる必要があるが、裏切られたときはその男を殺して水に還らなければならない。

 フーケの小説やジロドゥの戯曲をはじめ、この神話は何度も文学や音楽の題材にされてきた。「水を抱く女」は、その最新版だ。監督は、「東ベルリンから来た女」(2012年)を撮ったクリスティアン・ペッツォルト。技の切れる人だけに、庖丁さばきに期待を抱いた。

 案の定、見せ方が巧い。神話を現代に移植し、悦楽と悲哀や妄想と執念を立体的に絡ませ、切り落とせる部分は大胆に省いて、観客をかどわかす。

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