映画 水を抱く女 水の精が遭遇した命がけの恋 卓越した技で見せる霊異記だ=芝山幹郎
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ウンディーネ(仏語ではオンディーヌ)は水の精だ。ウンディーネには魂が欠けている。魂を得るためには人間の男と結ばれる必要があるが、裏切られたときはその男を殺して水に還らなければならない。
フーケの小説やジロドゥの戯曲をはじめ、この神話は何度も文学や音楽の題材にされてきた。「水を抱く女」は、その最新版だ。監督は、「東ベルリンから来た女」(2012年)を撮ったクリスティアン・ペッツォルト。技の切れる人だけに、庖丁さばきに期待を抱いた。
案の定、見せ方が巧い。神話を現代に移植し、悦楽と悲哀や妄想と執念を立体的に絡ませ、切り落とせる部分は大胆に省いて、観客をかどわかす。
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週刊エコノミスト
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