経済・企業注目の特集

追悼 池尾和人・慶応義塾大学名誉教授 金融論にミクロ分析導入 不良債権処理先送りに警鐘=早川英男

 池尾和人さんが2月21日に亡くなった。68歳の若さだった。筆者は池尾さんが2018年2月、慶応義塾大学経済学部の定年を前にした最終講義で、パネリストとして登壇して以来、お目にかかる機会がなかったため、訃報を聞いて本当に驚き、落胆した。葬儀の日、元気な頃の遺影を見て、生粋の京都人である池尾さんは「お公家さん顔」だったと改めて思った。

 池尾さんの業績には、まずミクロ経済学を本格的に日本の金融論に導入したことが挙げられる。情報の経済学などの応用ミクロ分析の本格的な活用は、池尾さんが1985年に出版した『日本の金融市場と組織』を嚆矢(こうし)とする。日銀に在籍していた筆者も80年代後半、米国留学から帰って同じような論文を書いていた時期があり、年齢も筆者が2歳下と近かったため、早くから知己を得ることができた。

残り721文字(全文1076文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事