経済・企業学者が斬る・視点争点

エビの質「見える化」で生産意欲向上=鈴木綾

横並び価格が生む粗悪品

 食のグローバル化とともに、食品の国際標準や認証制度の整備が進んできた。こうした制度は、生産現場の自然環境や労働環境、食の安全管理などの取り組みを可視化することで、消費者に商品選択の判断材料を与えるとともに、生産者の意識の向上にもつながるというメリットがある。

 ただ、途上国の生産現場を訪れると、国際ルールが順守されていない状況を目にする。「持続的な生産活動」を実践する農家に与えられる「グローバルGAP」などの認証を受けているのは、比較的裕福な農家であることが多い。一体なぜなのか。

 筆者は国連工業開発機構などの共同研究に参加し、東南アジアのエビ養殖産業に関する調査を行ってきた。日本は世界でも屈指のエビ輸入国だ。台湾のエビ完全人工養殖技術の開発を日本の技術が下支えしたことや、高度成長期の日本のエビ需要が産業の発展をけん引したことは、村井吉敬氏の『エビと日本人』によって広く知られている。

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